デジタル家電、半年で半額
デジカメやパソコン下落 買い控えで拍車
- 2012/10/25付
デジタルカメラや薄型テレビなどのデジタル家電の値下がりが加速している。今春に発売されたモデルの価格は半年間で多くが50%前後下落。5年前は同期間で10~30%で、下落ペースが速まっている。消費者にとって高機能の新製品を安く買えるようになったが、家電メーカーや量販店は利益を稼ぎにくい状況が強まっている。独創性のあるヒット商品が登場しない限り、こうした傾向が続きそうだ。
日本経済新聞が全国2300店の家電量販店の売り上げ動向をまとめるBCN(東京・千代田)の協力を得て調査した。対象は代表的なデジタル家電で、世帯普及率が7割を超えるデジカメ、薄型テレビ、録画再生機(レコーダー)、パソコンの4品目。
デジカメは今年3月発売の103機種の価格が平均47%下落した。例えばカシオ計算機の「EXILIM EX―ZS150」は1万8100円から9300円へ5割下がった。一方、昨年3月に発売されたデジカメ全体でみると半年後の値下がり率は平均35%、5年前の07年3月については同15%で、下落幅は年を追って拡大している。
パソコンは今春発売の68機種が半年で51%、レコーダーは同4機種が44%値下がりした。5年前はそれぞれ30%、20%にとどまっていた。
薄型テレビも今春に発売された29機種が半年で34%下落した。昨年の下落率は24%、5年前は14%だった。
値下がりが加速するのは技術革新で、より高機能で割安な製品が短期間で登場するためだ。レコーダーではハードディスク駆動装置(HDD)の進化などで、新製品が出るたびに大容量化と価格下落が進む。シャープの記憶容量500ギガバイトの製品でみると、1ギガバイト当たりの価格は5年前の127円から今年は59円と半額以下になった。
消費者はこうした「家電デフレ」に慣れており「価格が下がってから買おうと考える傾向が顕著」(ヤマダ電機)。またデジカメなどは、カメラ機能も備えるスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)に需要を奪われている。米アップルのタブレットのように「全く新しいジャンルの製品や機能が登場しないと価格下落は止まらない」(大手量販幹部)との見方が強い。
デジタル家電の需要減と価格下落は関連各社の収益に影を落とす。パナソニック幹部は「薄型テレビは(地上デジタル放送への移行により)今後2~3年程度の需要の先食いで販売の減少は見込んでいたが、落ち込みは想定以上」と警戒する。
テレビメーカーは価格下落に対応し販売量を絞ることで、収益への影響を減らそうと躍起になっている。ソニーは8月にテレビの年間販売計画を前期比21%減の1550万台と期初から200万台引き下げた。
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