政府、インドネシア首都圏のインフラ開発計画合意へ 日本企業、受注1兆円めざす
日本とインドネシア両政府は9日、インドネシアの首都ジャカルタでの都市開発計画で合意する。道路整備や鉄道建設などインフラ開発を中心に、総事業費は2020年までに3兆円規模。計画作りには日本企業も参加し、約1兆円分の受注を目指す。計画から保守・点検までを一体的に手掛ける「パッケージ型インフラ輸出」のモデルとする考えだ。
9日に玄葉光一郎外相や枝野幸男経済産業相が、都内でインドネシアのハッタ経済担当調整相との会談で正式合意する。
日本政府は東南アジア諸国連合(ASEAN)の成長市場であるインドネシアで投資環境を整え、民主化を進めるミャンマーなど他のASEAN諸国やインドなどとの経済協力の強化を目指す。「東南アジアや南西アジアで影響力を強める中国の影響力拡大をけん制できる」(外務省幹部)との狙いもある。
両政府は10年12月に「ジャカルタ首都圏投資促進特別地域」(MPA)構想を作り、インフラ整備を進める合意文書に署名。具体的な計画を閣僚レベルで協議してきた。事業総額は国際協力機構(JICA)の調査によると45案件で3兆円規模。このうち約1兆円についてインドネシア側が外国企業の協力を求めている。
事業調査には三菱商事や日立製作所、首都高速道路会社、東京メトロなど11のインフラ関連企業が参加した。計画作りから関与することでインドネシア側の法改正や税関手続きなど投資条件の変化に対応しやすくなる。ジャカルタ市内にある日本企業の立地条件に合わせたインフラ開発も進めやすくなるとみる。
合意する計画は、慢性化する渋滞を緩和するための道路整備や鉄道建設、電力需給の逼迫に対応するための発電所建設や送電線の整備などが柱となる。まず13年末までに着工する18の優先事業を選定し、実現に移す。
具体例としては都市高速鉄道の南北線・東西線の整備、インドラマユ火力発電所の建設、新国際港湾とアクセス道路の整備など。日本政府は既に南北線の整備やジャワ島とスマトラ島を結ぶ送電線など3事業を円借款で、洪水対策としてジャカルタ近郊のプルイット排水機場の改修を無償資金協力で、合計約950億円の支援を実施した。
両国政府はインフラ開発に加え、今後も投資環境を改善するために官民協議を継続し、ソフト面でも協力を深めたい考え。両国の官民の代表がインドネシア国内の関連法令の周知徹底や、税務当局との対話を進める。
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