IMD学長「豊富な国際経験不可欠」
- 2012/10/31 3:30
IMDが毎年発表している世界各国の国際競争力ランキングによると、日本の順位は1990年代初頭の1位から2010年に27位まで沈んだ。政治的リーダーシップの欠如や中央銀行の役割が果たされていない問題もあるが、日本企業の対応力不足も大きい。
IMD学長 ドミニク・テュルパン氏
日本には生産的な労使関係や研究開発力など多くの強みもある一方で、高齢化や語学力不足、幹部人材の国際経験不足などの弱みも大きい。特に、日本企業は若手への教育には熱心なわりに、一定以上になると投資を止めてしまうため、幹部層への教育は不十分だ。
だがグローバル化する企業経営では、リーダーに豊富な国際経験が強く求められる。好奇心を常に持ち、自信を持つことも大切だ。偉大なビジネスリーダーは楽観主義者であり、ストレスを感じにくい。そういった個人の特性には差があるが、適材適所で人材は使い分ければいい。
欧米企業のオープンさと対照的に、日本企業は才能ある日本人以外の管理職にチャンスを与えていない。トップのポジションには本国の人だけでなく、外国人や現地人材も登用すべきだ。人材の多様性を確保するには明確な目標を設定する必要がある。出るくいを打つようなことはすべきでない。「日本は特異な国だ」という話もよく聞くが、それはどこの国でも同じであり言い訳にならない。
現在IMDにも幹部候補の日本人が学びに来るが、それを上回るハイペースで中国人が来ている。このままではやがて日本は彼らの後じんを拝することになる。
ドミニク・テュルパン氏 スイス・ローザンヌに本拠を置く世界的ビジネススクールのIMDでディレクターなどを歴任した後、2010年7月に学長に就任。パナソニックや花王など日本企業のグローバル化支援や人材育成にも携わってきた。55歳
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