処方薬を全国で宅配 調剤大手、在宅医療拡大で
アインや日本調剤など
- 2012/10/18 2:00
調剤薬局チェーン最大手のアインファーマシーズや2位の日本調剤が、患者宅や介護施設に処方薬を届ける「宅配サービス」を全面的に導入する。アインは対応店舗を現在の40店から来期中に約500店に拡大。日本調剤も70店から350店以上に増やす。国は入院治療から在宅治療への移行を狙い、今年4月の診療報酬改定で在宅調剤サービスに対する報酬を新設しており、各社は「在宅」事業を新たな収益の柱とする。
アインは2014年3月期末をメドに全国500店超のほぼ全店で在宅患者向けの処方薬の配達を始める。今年5月に同事業を推進する専属チーム「在宅医療部」を新設し在宅調剤サービスの業務フローや人員配置の体系づくりを進めてきた。
薬剤師の少ない店舗でもサービスを提供できるようタブレット端末を活用し、薬歴確認や日報作成業務などを軽減する。端末を使って患者に薬の効能を説明するなどの活用法も探る。総店舗数の1割弱から一気に対応店を広げ、将来の在宅治療患者の増加に備える。
日本調剤も配達サービス対応店舗を現在の70店から3年後にほぼ全店の350店以上に引き上げる。アイン同様、薬剤師の業務負担を軽減するため、在宅サービスに適したIT(情報技術)システムを導入する。往診する医師にも情報端末を提供し、診断状況や投薬情報、処方箋などの患者情報を一括管理して医師と薬剤師の連携を深める。
処方薬の宅配専門店の本格展開に乗り出すのが売り上げ規模で4位の総合メディカル。3年後をメドに約400店全店で「在宅」に対応するが、同社は通常のカウンターを持つ薬局店舗のほかに処方薬の宅配専門店も試験的に3店、整備している。地域医療との連携を進めながら専門店を3年後に40店舗に増やす。
調剤薬局にとって患者の集客が容易な病院前は出店余地が限られ、街なかでは調剤窓口を持つドラッグストアとの競争も激化している。国は医療費削減のために入院治療から在宅治療に移行させる施策を進めており、各社は配達サービスの拡大で、増える在宅患者の需要を取り込む戦略だ。
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