野菜・衣料・ヘアケア用品… 目利きの選択、定期購入
商品選び、手間いらず
一定額の利用料を払えば、目利きが選んだ商品が届く定期購入サービスを利用する人が増えている。店やインターネット上にある多数の商品の中からお気に入りを探す時間や手間を省けるのが特徴。扱い分野も野菜から仕事着、ヘアケア用品などへと幅が出てきた。専門家らがよりすぐったという安心感もあり、働く女性や家事で忙しい主婦らを中心に重宝する人が目立つ。
「好きなブランドが特になく、服選びが苦手な私にぴったり」。都内に住む会社員の片山育美さん(24)はSNS(交流サイト)大手のミクシィが9月に始めた「プティ ジュテ」に満足げだ。
送料込みの利用料は1カ月4200円。ミクシィの20~30代女性社員が企画した婦人衣料5種類を毎月提案し、会員が好きなデザインを選べば商品が届く仕組みだ。片山さんは初めて来た白のレイヤードブラウスをすっかり気に入り「職場に着ていく服は今後もミクシィから買う」と話す。
片山さんのような女性は多く、同サービスの会員数は計画通りの増加ペース。ミクシィはまず1千人の確保を目指す。
レシピ投稿サイト運営のクックパッドは「やさい便」を7月に始めた。会員になると毎週か隔週、北海道から九州までの旬の野菜が約30の生産者らから届く。野菜を使った人気レシピをネットで閲覧できるサービスもセットで提供し、毎日の献立に悩む主婦らの加入が目立つという。利用料は容量違いで1680円と2680円。送料は別途必要だが、評判はネット上の口コミなどで広がり、9月以降は申し込みの増加ペースも上昇。来年4月までに約1万人の会員獲得を見込む。
野菜の定期宅配では、らでぃっしゅぼーやも会員数は毎年、前年比2~5%増え続け、会員数は現在10万7千世帯。家族の人数に応じ4種類(1回1897~3367円)の分量から選べ「有機野菜を無駄なく使い切れる点が受けている」(同社)。オイシックスも会員数が7万5千人と5年で約4倍に増えた。
7月にサービスを始めた「HATCH(ハッチ)」は、ヘアケア関連や香辛料など専門家が選んだ7分野の商品を扱う。ヘアケアなら9カ月間に3回商品が届き、送料込みで4万7250円。会員数はまだ約200人だが「申込件数は増加傾向にある」(運営会社のラップアンドコー)。
目利きが選んだ商品を届ける定期購入サービスは「サブスクリプションコマース」と呼ばれ、米国などで普及し始めている。野村総合研究所の試算では日本のインターネット通販市場は約10兆円に成長したが、同総研の日戸浩之上席コンサルタントは「選択肢が豊富になった半面、商品選びに悩む人も増えている」と指摘。定期購入サービスは「内容への安心感もあり今後浸透しそう」(日戸氏)と予測する。
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