正月を着物姿で楽しみたい 手軽な方法と着こなすコツ
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- 2011/12/31 7:00
- 日本経済新聞 プラスワン
- 1810文字
ふだんは洋服でも、正月ぐらいは着物で出かけてみたいという人は多いはず。初詣の神社・仏閣、茶席や酒席、歌舞伎の観劇など、ちょっと気取った和服姿で向かえば、より楽しみを味わえるはずだ。高額な着物を買いそろえなくても、レンタルを使えば気軽に第一歩を踏み出せる。
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着物って高そうだし、慣れない自分には無理じゃない?
レンタルで気軽に体験
蔵造りの商家が並ぶ、埼玉県川越市の一番街商店街。毎月28日午前11時に成田山川越別院で開かれる骨董市に集合し、ゆっくりと散策する着物姿の人たちが現れる。特定非営利活動法人(NPO法人)「川越きもの散歩」が開く同名の散歩イベント(雨天中止・参加無料)の参加者たちだ。
イベントの常連で市内に住む関田由美恵さん(45)は「子育てで忙しい毎日だが、着物を着て散歩に参加すると、母親でない自分になれる」と話す。矢がすり柄の着物や短めの羽織など、レトロな姿の人がいれば、訪問着でめかし込んだ人もいて、それぞれが自由な着こなしを楽しむ。
「解散後は縁結びで有名な川越氷川神社へのお参りや、『小江戸川越七福神めぐり』をするのもいいですよ」(同イベント主宰者の藤井美登利さん)
正月は和服になじみのない人が、普段と違う装いで出かけるいいチャンスだ。「『彼と初詣に行きたい』という若い女性、『新年会や新春歌舞伎に』という熟年のご夫婦といった人が増えます」と話すのは着物販売とレンタルの「衣裳らくや」(東京都中央区)の店主、石田節子さん。
高価な着物がなくても大丈夫。らくやの場合、前日午後5時までに予約。当日、店で商品を選び、その場で着付けてもらう。カジュアル着物が中心で、女性ならワンピースに当たる小紋や紬(つむぎ)、男性はジャケットスタイルに相当する着物と羽織のセットで、着付け時間は約10分。商品選びを含め、入店から30分後には出発できる。料金は1日借りて5250円。
着付けがすんだらさっそく出発。神社仏閣への初詣もいいが、着物姿なら割引サービスを受けられるイベントを探してみてはどうだろう。例えば江戸時代の古民家など25棟が並ぶ野外博物館、川崎市立日本民家園は2012年1月4日に「お正月を遊ぶ」を開く。
羽根つき、竹馬、福笑い、たこ揚げなどの正月遊びに参加できるほか、古民家で囲炉裏にあたりながら岩手県遠野市に伝わる昔話を聞いたり、獅子舞が悪魔ばらいをする様子を眺めたりできる。一般500円の入場料は着物姿なら無料だ。
歩き方や車の乗り降り、トイレが気になるけど?
膝を支点に小股が基本
せっかく着物を着るからには、「粋」に見せたい。着物にふさわしい立ち居ふるまいのポイントを、石田さんに聞いた。
まずは歩き方。女性はパンツスタイルのときと同じ歩幅で歩くと、裾が乱れがち。「着物では内股かつ小股が基本。膝を支点に足を動かすようにすると、がに股にならず自然と歩幅も狭くなる。裾が乱れず、おしとやかに歩けます」
男性は洋服のときと同じ歩幅でよく、多少、がに股でもOK。気をつけたいのは姿勢だという。「猫背だと貧相に見える上、襟元も崩れやすい。堂々と胸を張って歩きましょう」
洋服だと車には頭から乗り込むが、着物の場合は「お尻から」が鉄則。「車の側面に立ち、座面に浅く腰掛けたら、両足を持ち上げて体ごと90度回転します」
最も心配なトイレでは、「男女ともに、着物とその下に着る長じゅばんの裾を一度に持ち上げず、着物の上前(左身ごろ)→下前(右身ごろ)→長じゅばんの上前→下前の順にめくりあげると着崩れしません」。戻すときは逆の順番で。その後、女性は帯の下の「おはしょり」と、帯結びの形を整える。男性は親指を前帯の中に差し入れ、ぐっと押し下げる。
「帯の位置がせりあがったままだと、子どもっぽい着姿になってしまいます」
羽織は室内でも着たままで構わない。椅子や座布団に座る際は、羽織を両手で後ろ側に跳ね上げてから腰を下ろす。これを怠ると、立ったとき羽織の後ろがお尻の重みと熱でシワだらけになりかねない。
写真を撮るときは、半襟が着物の襟の内側に入りこんでいないか確認を。また体の重心の位置にも注意。「重心がかかとにあるとお腹が出て見える。つま先寄りに重心を置き、軽く胸を張るときれいです」と石田さんはアドバイスする。
(ライター 籏智 優子)
[日経プラスワン2011年12月24日付]
【cf.】着物でつなぐ街おこし(NK2012/9/14)
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