豪の新国防計画、インド洋重視へ 中国の活動けん制
【シドニー=柳迫勇人】オーストラリアが国際的な安全保障環境の変化を受け、国防体制を「北西重視」に修正し始めた。インド洋での中国軍の活動増加に対抗し、同海域での米軍との協力を強化。自国内での部隊配備も地下資源の多い北部や西部を重視した体制に改める。豪政府は、これらの詳細を新たな国防計画としてまとめ、2013年前半に発行する国防白書で公表する。
豪州は年内にインド洋に面したパースで、米国と外務・国防閣僚協議(AUSMIN)を開き、両国の安保協力の強化を打ち出す。
既に今年4月には豪北部ダーウィンへの米海兵隊のローテーション配備がスタート。中国海軍がパキスタンなどインド洋沿岸国に寄港地を整備するなど活発に動いていることを踏まえ、クリントン米国務長官は米豪にインドも加えた連携の必要性を提唱。豪軍は、パースにあるスターリング海軍基地への米揚陸艦や潜水艦などの寄港を受け入れることで、インド洋での米軍のプレゼンス拡大に協力する見通しだ。
自国内での軍の配置も見直す。従来は首都キャンベラやシドニーのある南東部に重点を置いていたが、今後は液化天然ガス(LNG)開発計画が相次ぐ北部や西部を重視した配置に移行する。
ギラード政権は財政健全化に向け、12年度(12年7月~13年6月)から4年間で国防費を計50億豪ドル(約4000億円)削減する予定。これに伴い、当初は30年までに12隻の新型を導入する予定だった潜水艦更新計画の完了時期を後にずらす。米国などと共同開発したステルス戦闘機F35の調達時期も19年に遅らせ、調達総数も圧縮する。
元豪国防省幹部で政府系シンクタンク豪戦略政策研究所のピーター・ジェニングス所長によると、アフガニスタンからの部隊撤収などと連動する形で現在約5万6千人の陸海空兵力の圧縮も検討課題になるという。
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